【厚労省検討会】高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会(第3回)
―「安全に働き続けられる社会」に向けた具体策を協議 ―
■ 開催概要
- 会議名:第3回 高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会
- 開催日:令和7年11月5日(水)
- 主催:厚生労働省 労働基準局 安全衛生部
- 資料URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65614.html
本検討会は、高齢化の進展に伴い増加傾向にある高年齢労働者(概ね60歳以上)の労働災害防止策を検討するものです。
第3回では、労働災害の実態分析とともに、事業者が取り組むべき対策を整理した「高年齢者の労働災害防止のための指針(案)」が提示されました。
■ 背景:増加する高年齢労働者と労災リスク
資料によると、60歳以上の労働者の就業率は年々上昇しており、現在では約4人に1人が「高年齢労働者」という状況になっています。
しかし同時に、休業4日以上の死傷災害件数では60歳以上の占める割合が全体の3割を超えるという報告もあり、加齢による身体機能・反応速度の低下、バランス感覚の衰えなどが災害リスクを高めていると分析されています。
特に発生が多いのは以下のような事故です。
- 転倒・転落・滑落
- 荷物の持ち上げ・移動中の腰痛・筋骨格系障害
- 機械作業・運搬作業中の挟まれ事故
■ 指針案のポイント(事業者が取るべき対応)
検討会で示された「指針(案)」では、事業者に次のような取組を求めています。
| 分野 | 対応内容 |
|---|---|
| 作業環境の改善 | 段差・照明・床材・手すり・滑り止めなど、高齢者の身体特性に配慮した職場設計 |
| 作業配置・業務内容の見直し | 高所・危険作業・夜勤・単独作業など、高負荷な業務の担当を見直す |
| 健康管理と機能評価 | 健康診断や体力測定結果を踏まえた作業マッチングの強化 |
| 教育・意識啓発 | 高年齢労働者自身と管理者の双方に対する安全教育・指導体制の整備 |
| 継続雇用との両立 | 「働き続けたい高齢者」と「安全に働ける環境」の両立支援 |
これらの取組は、努力義務としてすでに労働安全衛生法の関連改正で示されており、今後はこの「指針」が実務対応の基準として各業界に浸透していく見通しです。
■ ソニア層(シニア×アクティブ)活躍の視点から
「高年齢労働者=守るべき存在」ではなく、経験と知恵を活かす戦力として捉える動きも広がっています。
とくに介護・医療業界では、現場を支える人材の多くが50〜70代のベテラン層。
この「ソニア層(ソフト・ニア=シニアの新しい呼称)」が安全に、長く働き続けられる環境づくりは、業界の持続性と人材確保の両面で重要なテーマです。
- 体力や反応速度だけでなく、「経験知・気づき力」を活かした安全文化づくり
- チーム内での役割分担や、教育係・リスクアドバイザーとしての活躍
- ICT・省力機器の導入による身体負荷軽減
介護・医療現場に限らず、あらゆる産業において「高齢者の安全」は“現場の知恵”から生まれる時代に入りつつあります。
■ 今後の見通し
検討会では、今後の方向性として以下が確認されました。
- 指針(最終案)を令和8年春までに取りまとめ、公表予定
- 各業種団体への普及・研修・安全マニュアル策定を推進
- データに基づくPDCA型の安全衛生活動(年齢別分析・ヒヤリハット共有)の強化
■ 編集部コメント
介護や医療の現場でも、「高齢者を支える側」だけでなく、“働く高齢者を支える現場”をどう守るかが問われています。
ソニア層の活躍は、単なる人材確保ではなく、「世代を超えて支え合う職場文化」の形成でもあります。
これからの労災防止対策は、年齢を問わず全員が安心して働ける職場づくりそのものです。
出典:
厚生労働省「第3回 高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会 資料」令和7年11月5日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65614.html
coco-cala.com 編集部


